彼は私たちの背きのために刺され、私たちの咎のために砕かれたのだ。
彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、
その打ち傷のゆえに、私たちは癒された。
私たちはみな、羊のようにさまよい、
それぞれ自分勝手な道に向かって行った。
しかし、主は私たちすべての者の咎を彼に負わせた。
彼は痛めつけられ、苦しんだ。だが、口を開かない。
屠り場に引かれて行く羊のように、
毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない。
虐げとさばきによって、彼は取り去られた。
彼の時代の者で、だれが思ったことか。
彼が私の民の背きのゆえに打たれ、生ける者の地から絶たれたのだと。
彼の墓は、悪者どもとともに、富む者とともに、その死の時に設けられた。
彼は不法を働かず、その口に欺きはなかったが。

イザヤ書53章5~9節

上記の言葉は、旧約聖書の一部です。この「彼」とは、いったい誰のことでしょうか。実は「彼」とはキリストの事なのです。次の文章をお読みになれば、きっとあなたにも、この聖書の言葉がキリストについて書かれてあることがお分かりになるはずです。

「彼は痛めつけられ、苦しんだ。だが、口を開かない」とあるように、キリストは処刑前の裁判で、多くの偽証人から訴えられましたが、一言も自己弁護しませんでした。また、むちで打たれ、唾をかけられ、棒でたたかれても、黙って耐えておられました。

「しかし、彼は私たちの背きのために刺され」とあるように、キリストは両手両足を釘で刺し通され、十字架につけられました。

「彼の墓は、悪者どもとともに、富む者とともに、その死の時に設けられた」とあるように、キリストは2人の犯罪人と一緒に十字架につけられ、アリマタヤのヨセフという裕福な議員の墓に葬られました。

このように、この預言がイエス・キリストの死の場面を描写していることは明らかです。しかし驚くべきことに、このイザヤ書はイエス・キリストが誕生する約700年前に書かれていたのです。

キリストを預言している旧約聖書

聖書は、旧約聖書(39巻)と新約聖書(27巻)の2つから成る書物です。新約聖書はキリストの死後に書かれたものですが、旧約聖書はキリスト誕生の約1500年前(今から約3500年前)に書き始められ、キリスト誕生の約400年前(今から約2400年前)に完成していました。イザヤ書を含む旧約聖書が、キリスト誕生以前にすでに完成していたことは、「死海写本」の発見によって考古学的に明らかになっています。死海写本とは、1947年に死海のほとりにあるクムラン洞窟から発見された972の写本群のことで、主に旧約聖書の写本とその注解書からなっています。放射性炭素年代測定、質量分析法などから、それらの文書は紀元前250年頃のものであると考えられています(1985年版ギネスブック「最古の聖書」)。ですから、旧約聖書原本はそれ以前のもっと昔に書かれていたということです。

その旧約聖書の中に、キリストについての預言が300以上もあります。誕生する町の名前や家系、処女降誕、弟子の裏切り、死や埋葬の様子など、事細かな預言がすべてイエス・キリストの生涯で成就しているのです。聖書が多くの預言を記し、成就させている理由は2つあります。1つは、聖書が神のことばであることを確証させるためです。そしてもう1つは、イエス・キリストこそ神がお遣わしになった救い主であることを示すためです。初対面の人と待ち合わせる場合、2、3の特徴を事前に聞いておけば相手を特定できます。しかし神は、300以上もの預言を与えてくださり、だれが救い主であるかを私たちが間違えないようにしてくださったのです。

キリストの預言が書かれた理由

 私たちには救い主が必要です。なぜなら人間は皆「羊のようにさまよい、それぞれ自分勝手な道に向かって行った」と書かれている通りに、造り主である神を無視し、自分勝手な人生を歩んでいるからです。そのような生き方こそが「背きの罪」です。神は、罪を憎む方ですので、罪に対して必ず罰を下されます。その罰とは地獄での刑罰です。

しかし、神は、私たちを地獄から救うために救い主を与えてくださいました。その方こそ、旧約聖書の中に預言されていたイエス・キリストです。

イエス・キリストは、あなたの背きの罪のために、十字架の上で両手両足を釘で刺し通されました。本来、あなたが受けるべきであった刑罰を、罪のないイエス・キリストが代わりに受けてくださったのです。そしてキリストは、死後3日目によみがえり、自らが真の神であり救い主であることを証明されました。この事実に基づいて、あなたが自分の罪を悔い改めてイエス・キリストをご自分の救い主として信じるなら、全ての罪は赦され、あなたは天国に入れていただけるのです。

イエス・キリストこそが神の遣わされた救い主であることは、旧約聖書の預言によって迷う必要のないほど明らかです。どうか、あなたもイエス・キリストを救い主として信じて救いを得てください。